平成30年度 第62回 日本学生科学賞山形県審査 マイロナイトと地形の変動に関わる考察 ー 棚倉構造線の北方延長問題に関連して ー

審査委員特別賞(山形県立博物館にて表彰式)

今年は2012年から昨年2017年までの6年間の研究をまとめて出品しました。都市圏の活断層から始まった研究の動機,エクセルの立体地形図で捉えた斜平山山塊の地形変動,ここまでが2013年,そして2014~2015年の2年間の調査を経て,山体構造の方向が分かり,基盤岩のマイロナイトにまで考察が及ぶことになるとは,当初は予想もしていない展開でした。基盤岩の話になると,日本列島の形成過程に遡ることとなり,棚倉構造線の北方延長問題という分不相応の内容にまで入っていかざるを得なかったわけです。しかし,実は既存文献(日本の地質「東北地方」,1989)の中で,米沢盆地から酒田方面へ向かって棚倉構造線が延びているという予想はされていました。滝口・田中(2001)の補足データとなったかと思いますが,われわれの結論はそこではなく,日本海拡大時の堆積物である斜平山山塊がアーモンドを引きちぎるように割れていて,これを剪断と考えたとき,その剪断方向が李山マイロナイトと一致したということから考察が始まっています。
さて,難しい話になってきました。今後は斜平山山塊を中心として吾妻山の分水嶺に及ぶ広域の立体地形図の完成を目指すこととなります。データが膨大過ぎて今年は間に合わなかったのです。そして,その結果としてマイロナイトを探しに吾妻山の稜線を歩くことになるかもしれません。沢歩きはたぶん無理でしょうから。しかーし,2019年4月,科学部員は0となってしまいます。現在の1年生,2年生,そしてまだ見ぬ新入生の入部を心からお願いします。入ってくれないと休部あるいは廃部もあり得る状況です。もし,この研究に興味がない場合は,自分の好きなテーマを見つけて,自由に研究してもらって構いません。是非とも誰か入部してください。できれば体力に自信ありの人を求めます。

マイロナイトと地形の変動に関わる考察(PDFファイル1392KB)